お仕事見学
今年もウパっちが「東京・学校図書館スタンプラリー」に挑戦!
ウパっちは、とある企業図書室に住むウーパールーパー。
窓際で空をながめていると、図書室のおじさんが「もうすぐ学生さんは夏休みかあ」とつぶやくのが聞こえてきます。
夏休みといえば、昨年巡った「東京・学校図書館スタンプラリー」が今年も開催されることをウパっちは思い出しました。
「それぞれの図書館がいろいろと工夫した展示とか開催していておもしろかったな」
今年もウパっちは昨年と同じく12校を訪問することを目標にでかけることにしました。
今年も「ウパっちのお仕事見学」番外編です!
「東京・学校図書館スタンプラリー」も今年で8回目。昨年より1校増えて、今年は全35校が参加しての開催となった。
これまで同様、学校説明会などのイベントを同時に開催するなど、これから入学しようとしている児童・生徒や保護者、他にも教育関係者や地域の人々等に、その学校や学校図書館をより知ってもらえるよう工夫を凝らしたイベントとなっている。
東京都立科学技術高等学校
今年、最初に訪問したのは科学技術高等学校。都営地下鉄の住吉駅とに西大島駅の中間あたり、どちらの駅からも歩いて8分のところだ。
図書館は2Fにある。理系の学校なので専門書ばかりかと想像していたが、図書館入り口には、「おすすめ理科系よみもの」として誰にでも読みやすそうな本の紹介が展示されている。
蔵書はほとんどが自然科学や技術・工学といった分野で、日本十進分類でいえば「4:自然科学」「5:技術工学」の分野の本が多いそうだ。
専門書以外に生徒の興味を惹く資料も多い
館内の入口付近にはソファーと丸机があり、そこに座ると大型の写真集が並べられている。座ってながめているだけで楽しい。
また、校内行事で西表島にフィールドワークに行くとのことで、その特集コーナーなども、訪問時には設置されていた。
壁や書棚など、館内のあちこちに資料から抜粋した情報や、それらをもとに作成されたクイズが貼られている。関連する資料の情報もあわせて記載されているので、気になったらその資料を探して確認できるよう配慮されている。
卒業生がデザインしたという、ミジンコやクロレラ、ミドリムシ、アオモなどのしおりにウパっちも興味津々だった。
東京都立大江戸高等学校
2校目に訪れた大江戸高等学校は、科学技術高等学校から徒歩で15分弱の近所にある。
司書を務める関根さんは、最初に訪れた科学技術高等学校にも以前勤務されていたそうだ。
図書館内はたくさんの本がPOPとともに展示されており、この学校の図書委員会で行っているPOPづくりの活動は「図書館教育ニュース(2019年8月8日号No.1505)」でも紹介されている。また、この夏休み期間中には、作成した「おすすめ本POP」が江東区立深川図書館に展示されているとのことだ。
この日は、豆本やしかけしおり[※1]の作成が体験できるようになっていた。図書委員の生徒に教えてもらいながらウパっちも実際に豆本を作ってみた。
この豆本の準備にはとても手間がかけられているようで、きれいな豆本を作ることができた。
他にもオリジナルの読書ノートや、3冊の本が入った「お楽しみ袋」など、利用者の興味を惹くものが多かった。
広尾学園中学校・高等学校
3校目は、東京メトロの広尾駅からすぐのところにある私立広尾学園中学校・高等学校。
図書館の壁面には図書委員が薦める本がずらりと並んで紹介されていて壮観だった。
専任の司書教諭の他に、補助スタッフとして卒業生の大学生が2人勤務しているとのこと。
図書委員も積極的に活動しており、装備なども自らが行なっており、この日もそんな様子が館内で見られた。
学園祭や今回のスタンプラリーのような機会には、ビブリオバトルなどのイベントも開催しており、学園祭のときなどは図書委員のOB・OGも参加するそうだ。
宝仙学園中学校・高等学校
4校目の宝仙学園中学校・高等学校は、都営地下鉄大江戸線と東京メトロ丸ノ内線が交わる中野坂上駅近くにある。
同校では図書委員会が発足してまだ4年目だそうだ。
館内のおすすめ本の展示
今回のスタンプラリーにあわせて他校の図書委員と、お互いにおすすめの本を紹介し合うなど、交流会を実施していた。
司書教諭の先生もこの交流会に立ち会っていたため、この日は、スタンプラリーの対応で何人かの先生がスタッフとして参加されていた。
ウパっちもそんな皆のお邪魔にならないよう、遠くからその様子を見守っていた。
東京都立板橋高等学校
5校目は、池袋の西、東京メトロの千川駅にほど近い板橋高等学校を訪ねた。
校舎1Fの奥、生徒が絶えず行き来する階段のすぐ横が図書館だ。
陽光が差し込む明るい館内には、大きなテーブルの他、奥にはキャレルデスクもあり、授業でも個人学習でも使いやすそう。
カウンターの上には利用案内のライブラリー・ナビが置かれていた。
図書委員のおすすめ本には、「図書委員おすすめの本」というシールも貼られていて、POPとともに紹介されていた。
図書館内には漫画や部活関連本など、生徒が興味を持ちそうな本も多くあつかっていて、いろいろな生徒に来てほしいという思いが伝わってきた。
田園調布学園中等部・高等部
6校目は、東急線の田園調布駅からおよそ10分のところにある田園調布学園。
校舎は中央が吹き抜けになっており、2Fにある図書館もその吹き抜けに面しているので、他のフロアからも図書館内の様子を見ることができる。
外側に面した窓が大きく、明るい館内で勉強を行っている学生も多かった。
入口の脇には、小さめのカードに書名と感想が書かれたカードが貼ってある。
これは「中2の30冊 14(イチヨン)」という取り組みで、中学2年生に読んでほしい30冊が冊子にまとめられていて、その中の本を読んだ感想カードを掲示しているそうだ。
感想を掲示すると読んだ本の表紙画像のステッカーがもらえる。どんどん読み進めていくと、空欄だった部分に冊子の表紙が増えて、生徒の達成感も上がっていくしかけだ。別の生徒の感想カードを読んで、次の本に手が伸びる生徒も多いとのこと。課題図書ではないからこそ、生徒自身が継続して取り組む工夫を考えたそうだ。
スタンプラリー期間は、「図書館バンザイ」という図書館にまつわるクイズも開催されていた。
これは、話題となった映画「ニューヨーク公共図書館エクス・リブリス」を図書委員会で鑑賞し、それに感銘を受けたので、クイズのテーマを「図書館」に決めたとのことだ。
東京学芸大学附属世田谷中学校
7校目に訪問したのは東京学芸大学附属世田谷中学校。東急線の自由が丘駅からバスで10分ほどのところにある。
館内はたくさんの書棚が並び、ちょっとした迷路に迷い込んだよう。
館内では図書委員の生徒が、図書ラベルを貼る作業をしていた。その近くには、選書ツアーで選んできたという本が段ボールに積んである。
この日は学校図書館関係者が多く集まっていたためか、同校の図書館司書の村上さんが授業での図書館の活用について話をされていた。
図書館で行った各教科の授業を学年別に時系列で記録したもの
家庭科や社会科など様々な教科の先生方とアイデアを出しながら授業を作り上げているというお話に、見学者も熱心に耳を傾けていた。
明治学院中学校・東村山高等学校
8校目は、昨年のスタンプラリーでも訪れた明治学院中学校・東村山高等学校は、西武拝島線小川駅から、歩いて10分のところにある。
昨年は入り口近くに英語多読本が並べられていたが、今年は「新書部屋」に移設されているなど、館内の様子も一年前とは少し様変わりしていた。
授業の成果としてブックトークの一部が展示されていたり、教育実習にいらした先生へインタビューしたおすすめ本が展示されている。
図書委員の生徒は、スタンプラリーで館内を案内する他、POPを展示するなどの作業を行っていた。
それらのPOPは生徒が作成したもので、昨年の文化祭でコンテストを行ったものだそう。カラフルなPOPを確認しながら、そこで紹介されている本を書架から集める作業がすすめられていた。
この日、親と見学に訪れていた小学生らしき男の子は、図書委員の生徒に案内してもらった後、司書の方に本を選んでいただき読みふけっていた。
神田女学園中学校・高等学校
9校目の神田女学園は、JR総武線の水道橋駅からすぐ近くにある。
図書館に入ると、カウンターには利用案内のライブラリー・ナビなどと並んで、ウパっちのしおりも常備してくれていた。
同校では、外国語の授業で韓国語、中国語、フランス語も選べるので、そうした言語の本もそろっている。
図書室の外でも図書室の本がいろいろと活用されており、2年前に設立された、語学の自立学習を支援する場所である『K-SALC』には、特注で作ってもらったというブックトラックが置かれている。
このブックトラックには、英語のリーダーなどの資料が並べられており、また、上の段が枠で仕切られているので、本を立てた状態で置くことができるのが特徴だ。
校舎の1階にはカフェのような一角があり、ちょっとした打ち合わせや待ち合わせなどに利用されているが、ここにも図書室の本が並んでいた。
東京都立国際高等学校
10校目は、京王井の頭線の駒場東大前駅から徒歩5分、緑豊かな駒場野公園の隣に位置する東京都立国際高等学校。
図書館に到着すると、図書委員の生徒が館内を案内してくれた。
外国語の資料が充実しており、「何語で読む?」と題されたコーナーでは、様々な言語で書かれた同じ本が並べて展示されていた。
他にも、各国の絵本を紹介する「世界の絵本」の展示などもあった。
書棚にも、洋書、和書が混在して配架されており、背表紙の三段ラベルの下に貼られたシールで言語の区別ができるようになっていた。
また、この図書館の「多読コーナー」は、一般的な英語の多読本だけではなく、日本語の多読本も並んでいた。同校には帰国生や留学生なども多く在籍しているためで、レベルが上がっていくと一般の本も読みこなすようになるとのことだ。
東京都立広尾高等学校
11校目は、JR恵比寿駅から歩いて10分ほど、東京都立広尾高等学校を訪ねた。
こちらの学校では、学校司書は「進路指導部」に所属しているとのことで、図書館も進路指導室と同じ新館の3階にある。この場所は普通教室から遠く導線もないため、ポスターなどの掲示物は図書館より教室の近くに貼るようにしているそうだ。
階段の踊り場にも掲示されているこれらのポスターは、春休みの課題で1年生が作成したポスターで、ポスター制作は図書館で教えるそうだ。
また、図書館では社会科の授業で調べ学習なども行っているとのこと。
それぞれが決めたテーマについて仮説を立てて、関連する資料を集めて検証する。学校に置いていないジャンルの資料などは、公共(区立)図書館から借りてくるそうだ。
目黒日本大学中学校・高等学校
12校目は、JR山手線の目黒駅から権之助坂を下ったところにある目黒日本大学中学校・高等学校。
昨年のスタンプラリーでも同校を訪問したが、そのときは「日出中学校・高等学校」で、今年度より、現在の名称に変更となっている。
この図書館には、司書室という部屋がなく、全体がオープンなスペースになっている。
入口を入ってすぐのスタンプの置いてある机は、普段は図書委員が活動したりするときに使っているそうだ。
館内にある書架の多くは、「平湯モデル[※2]」の書架が採用されており、全体的に棚が少し傾いていて、本の背が見やすくなっている。
他にも、書架の配置が曲線的で、入口から奥へと誘い込まれるような配置になっているのも平湯モデルに基づくものだ。
また、美術の授業で作った作品が図書館の中に展示されており、関連する本も一緒に紹介されている。これらの作品を見に図書館に来る人もいるという。
今年も12校達成!
今年もいろんな学校図書館をまわることができて、ご満悦のウパっち。
生徒のみんなや先生方が協力して、魅力的な図書館づくりをしていて、ウパっちもとても楽しい時間をすごすことができました。
ウパっちを迎えてくれて、ありがとうございました。
会社情報
- 東京 学校図書館スタンプラリー
- 東京 学校図書館スタンプラリー
http://tokyohslib.ehoh.net/
第8回 開催期間
2019年7月15日(月) ~ 2018年8月31日(土)
- [※1]
- しかけしおり
- Jcrossのコレクションでも紹介しています。東京都立大江戸高等学校 夏はやっぱりかき氷 - 図書館のしおり | Jcross(ジェイクロス)
- [※2]
- 平湯モデル図書館
- こどもが変わる 学校が変わる 図書館づくり