お仕事見学
ウパっちが巡る「第7回 東京・学校図書館スタンプラリー」
番外編 「第7回 東京・学校図書館スタンプラリー」
ウパっちは、とある企業図書室に住むウーパールーパー。
いつものように書架でのんびりしていると、図書室のおじさんがパソコンで見ていたウェブサイトをのぞきこむと、そこには「東京・学校図書館スタンプラリー」の文字を見つけました。
毎年夏に行われる「東京・学校図書館スタンプラリー」、そういえば、Jcrossの皆も前に参加していたな。スタンプラリーってなんだかとっても面白そう!
そして「今年は12校まわるとプレゼントがもらえる」という情報も教えてもらい、ウパっちはさっそくスタンプを集めにでかけることにしました。
今回は、「ウパっちのお仕事見学」番外編です!
今回で7回目をむかえる「東京・学校図書館スタンプラリー」。今年は全34校が参加し、ウパっちは、そのうち12校を訪問することを目標に出発した。
「東京・学校図書館スタンプラリー」では、学校説明会などのイベントを同時に開催するなど、これから入学しようとしている児童・生徒や保護者、他にも教育関係者や地域の人々等に、その学校や学校図書館をより知ってもらえるよう工夫を凝らしたイベントとなっている。
各校、来館者に楽しんでもらい、図書館をより身近に感じてもらえるよう、今年も展示やイベントなどを企画、開催していた。
都立豊多摩高等学校
最初に訪れたのは、都立豊多摩高等学校。
京王井の頭線の浜田山駅から10分ほどの住宅街の中に位置する。広大な敷地の中、門から校舎まで続く並木道をぬけて図書館へ向かった。
館内には、丁寧な解説とともに新書を紹介しているコーナーや、図書委員会のイベントで生徒が書いた読書カードとその対象の本を一緒に紹介しているコーナーなど、生徒の興味を惹くよう工夫されているのがわかる。
図書委員の生徒からは、昨年作ったという「リレー小説」をいただいた。1話で一冊の本をお話形式で紹介する内容で、図書館の広報誌に掲載していたものをまとめたものだそう。
「卒業生の関連本」コーナーには、漫画「風の谷のナウシカ」が並べられていた。そう、ここはその原作者で、アニメーション作家の宮崎駿氏の母校だ。
さっそく今回のスタンプラリーで記念すべき一つ目のスタンプをもらう。スタンプのデザインは、宮崎駿氏が監督をつとめたアニメーション映画「となりのトトロ」の「トトロ」だった。
また、このスタンプラリーにあわせて、図書館ではクイズイベントも開催されていた。
同校のクイズ研究会が作成したクイズが図書館内のあちらこちらに用意され、ひとつクイズを解くと次の問題の場所がわかる仕組みで、クイズを解き進めるうちに気が付けば館内を一周できるようになっていた。
私立明治学院高等学校
続いて訪れたのは、地下鉄南北線の白金台駅の近くに位置する、私立明治学院高等学校。
校門を入って左手に立派なチャペルがあり、その隣の建物が図書館だ。建物は歴史を感じさせる趣があり、図書館の中も、机や本棚など木製の什器でしつらえられており、重厚な雰囲気を醸し出している。
館内には、日本語多読、英語多読講座受講生が選んだ本とともに手作りのPOP(本の紹介)が展示されていた。
どれも力作でウパっちも見入っていた
他にも、さまざまなテーマによる展示がみられる中、ペーパーバックが書棚いっぱいに並ぶ英語多読本のコーナーの他、英語の本と日本語の翻訳本がセットで置いてあるコーナーなども用意されており、読み比べてみるのも面白そうだ。
私立広尾学園中学校・高等学校
3校目、私立広尾学園中学校・高等学校は、東京メトロ日比谷線の広尾駅にほど近いところにある。
ここの図書館は、廊下と図書館の間には壁がなく書架が仕切りとなっているいて、とても開放的な雰囲気だ。
図書館に到着すると、図書委員の生徒が案内をしてくれた。
館内には、図書委員による新着資料やお薦め資料の紹介や、他校と合同でビブリオバトルを実施した際の写真なども掲示されていて、図書委員の活動が活発な様子がうかがえる。
こちらの学校にはインターナショナルコースがあるため洋書が多く、英語での館内展示も目を惹く。
他にもICT教育[※1]に力を入れているとのことで、専用のICTルームがあり、今回はそのICTルームと連携してレーザーカッターで御守りを作成する企画が開催されていた。
私立明星学園中学校
4校目に訪れたのは、井の頭恩賜公園にほど近いところに位置する、私立明星学園中学校。
入口のテラスも良い雰囲気の図書館には、小学校高学年から中学生までがすべて使用している。
今年から始まった総合探究科では、司書教諭による「図書館と情報」という授業も行われているとのこと。出版者を招いて本ができる工程を学んだり、図書館で発注した本が届くまでの流通過程をテーマにした授業が行なわれているそうだ。
訪問日は図書同好会による館内案内が行なわれており、豆本作りや活版印刷が体験できるようになっていた。
活版印刷でウパっちの名刺を作ってもらう際には、図書同好会の生徒がウパっちのピンク色を再現するためにインクの配合を頑張ってくれている姿が印象的だった。
頑張って作ってくれた名刺にウパっちも感動
都立小川高等学校
5校目にお邪魔したのは、都立小川高等学校。
この日はちょうど学校見学会も開催されていて、校内もにぎわっていた。
図書館に入ると、カウンターにおかれていた、ライブラリー・ナビ(LibraryNAVI)でつくられた図書館案内が目に入ってきた。
館内には「修学旅行」コーナーや「新着図書」コーナーの他、これまでの文化祭などのパンフレットを収集・管理されている。図書委員の広報誌もちゃんと保存されており、散らばりやすい資料も図書館に来たら手に取ることができるので、後から振り返るときも便利そうだ。
キャレルデスク(一人がけの学習用机)には各座席に辞書(古語辞典と英和辞典)が置いてあり、分からないことがあってもすぐに調べられるように配慮されている。
図書館では「和綴じ本作り」のイベントも開催されていた。好みの柄を選択して針と糸で綴じていくと、オリジナルの和綴じ本ができあがる。
夏らしい金魚柄で作成した和綴じ本にウパっちも満足そう
私立日出中学校・高等学校
6校目は私立日出中学校・高等学校。JR山手線の目黒駅から権之助坂を下った先、目黒通り沿いの脇から長い階段を下りたところにある。
図書室は壁2面に大きな窓があるため、とても明るい空間で、生徒もよく集まってくるとのことだ。
当日は学校の公開イベントの日でもあり、子どもたちもたくさん来館している。館内には、大きなテーブルの他、部屋の中央にはカラフルな英語の絵本コーナーやペーパーブックも充実していて、イベントに参加している子どもたちも楽しんでいる様子だった。
この日は、スタンプラリーにあわせて「アロマストーンをつくってみよう!」というイベントが併催されていた。石こうにアロマオイルを入れて固めるもので、科学実験担当の先生と一緒に参加者も皆、楽しそうに作っていた。
ちなみに、別日には文芸部員による「ビブリオバトル」の体験イベントも開催されていたそうだ。
日出中学校・高等学校は、2019年4月より「目黒日本大学 中学校 高等学校」に名称が変更になります。
都立東大和南高等学校
7校目の都立東大和南高等学校は、多摩モノレールと西武拝島線の玉川上水駅近くにある高校だ。
図書館の中は壁や柱にも本が展示してあり、ふと目をあげると本の表紙に囲まれているかのようで、とてもにぎやかな感じのする図書館だ。
館内に入ると、まず「貸出冊数 何冊でもOK」という文字が目に飛び込んできた。
そのためか、展示コーナーにある本の中にも「貸出中」となっているものも多く、図書館がよく利用されていることがわかる。
この日、カウンターでは、図書委員の生徒が文化祭のイベントで使うらしく、手拭いを使ってブックカバーを手作りしていた。
私立明治学院中学校・東村山高等学校
8校目の明治学院中学校・東村山高等学校は、東大和南高校と同じ西武拝島線小川駅から、10分くらい歩いたところにある。
到着すると、校門前にスタンプラリーのポスターが掲示してある。図書館カウンターで受付をすませると、図書委員の生徒が館内を案内してくれた。学外からの見学者も多いようだったが、図書委員の生徒も案内に慣れている様子で、はきはきと受け答えをしている。
図書委員会では1学期、図書館のある校舎まで遠いクラスのために移動図書館という企画を試みたことがあり、その展示も行われていた。ブックトラックに興味を持たれそうな本を乗せて運び、玄関近くのスペースで見せるだけでなく貸し出しも行ったそうだ。
館内を見学していると、ある部屋の扉の「新書って何?」という張り紙が目に入ってきた。部屋の中には壁一面に「新書」が並べられており、圧倒される雰囲気だ。
都立町田総合高等学校
9校目、都立町田総合高等学校へは、JR横浜線と小田急小田原線が乗り入れる町田駅からバスで向かう。
ちょうど学校説明会と同じ日の開催で、中学生と保護者の方もたくさん学校内を見学していた。
館内には、特集コーナー「夏の本」の他、「気軽に読める本」「映画・ドラマになった本」などのテーマ展示があり、興味を惹きやすい本が目立つところにまとめられていた。
ふと見ると、進路コーナーの書架の上にはライブラリー・ナビがおいてある。進路に関する情報発信用に活用されているようだ。
書架には、日本十進分類の説明が貼ってあり、この棚に入っているのはどんな本なのかがわかりやすく工夫されている。
2年生のコミュニケーションデザインの授業で作ったという手作りの豆本も展示されていた。
「ウーパールーパーの夢」というタイトルの豆本に夢中のウパっち
私立工学院大学附属中学校・高等学校
10校目は、JR中央線の八王子駅からバスで20分ほどのところにある、私立工学院大学附属中学校・高等学校。
スタンプラリーの日は、隣にある工学院大学と共にオープンキャンパスである「科学教室」が開催されていた。そのため、図書館へも子どもからお年寄りまでたくさんの人が出入りしている。
当日は、図書委員会の生徒が来館者のサポートを行なっていた。館内にも図書委員会の活動がポスター展示され、図書館での活動を楽しんでいる様子がうかがえる。
図書館の入口は2階にあり、館内に入ると「Fabスペース」と呼ばれるスペースがある。2018年の4月にできたというこの場所には、大きな作業用のテーブルやモニター、3Dプリンタなどが配置されていて、生徒がディスカッションしたり、アイディアを形にしたりすることができるようになっている。ちなみに書架は1階にも設置されている。
他にも、電子図書館の体験コーナーも用意されていた。同校では生徒ひとりひとりにログオン用のIDが割り振られ、生徒はタブレットを操作しながら電子図書を読んだり借りたりしているとのことだった。
私立聖学院中学校・高等学校
11校目は私立聖学院中学校・高等学校を訪問。JR山手線、駒込駅から徒歩5分の場所に位置し、近くには旧古川庭園がある。
館内に入ってすぐの場所には、アウトドアショップさながらの登山の装備と、ザックの中身がディスプレイされていて驚かされる。これは、中学2年生のときに学校行事として行われる北アルプスの蝶ヶ岳登山を前に準備された展示とのこと。この後方の書架には登山に関する本も集められていた。
他にも館内のいたるところに展示がされており、とても遊び心にあふれた図書館だ。
興味深かったのはサッカー部による展示だ。
サッカー部がグラウンドの使える時間までのその待ち時間を、読書の時間にしているそうだ。読書好きの顧問の指導で始まったそうだが、その成果としてサッカー部員が作成したPOPが「高校サッカー部図書館活動POP展」として展示されていた。
また、借りるまでタイトルがわからない「やみぼん」や、”自分を励ましたい時”や”リフレッシュしたい時”などの効能だけを見て借りる「こころのくすり」など、工夫を凝らした展示がされていた。
今回、館内の説明をしてくれたのは図書委員の生徒で、彼らは他にも、絵本の読み聞かせを披露したり、クイズなどのイベントを開催するなど活躍していた。
私立玉川聖学院中等部・高等部
いよいよ目標の12校目。
最後に訪問したのは、東急東横線、自由が丘駅から7分ほどのところにある、私立玉川聖学院中等部・高等部。
図書館に入ると、とにかくたくさんの本に囲まれた図書館という印象だ。
書架の間にも小さな展示コーナーがたくさんあったり、各書棚も本の表紙面が見えるように並べられている段が多く、それそのものが展示のようだ。
新聞記事とそれに関連した資料が集められた「ネタのタネ」コーナーや、カウンターに置かれた「今日のおすすめ」など、たくさんの蔵書の中からピックアップされた資料が展示されている。
他にも、図書館には「触れる地球」という球体のタッチパネルで動かせる地球を体験できるようにもなっていた。タブレットが用意してあり、現在の風向き、天気の移り変り、人口推移などを切り替えて見られるようになっていた。
12校達成!
本当はもっとたくさんの学校をまわりたかったけど、それでも無事、12校回ることができたウパっち。
先日の第20回図書館総合展の際に、12校達成の記念として、東京・学校図書館スタンプラリー実行委員会から、同実行委員会が作成した『学校図書館の司書が選ぶ小中高生におすすめの本300』をいただきました。
普段入れない学校図書館を見学することができ、どの学校もそれぞれに工夫を凝らしていてすごいなぁと感心しました。
ウパっちを迎えてくれて、ありがとうございました。
会社情報
- 東京 学校図書館スタンプラリー
- 東京 学校図書館スタンプラリー
http://tokyohslib.ehoh.net/
第7回 開催期間
2018年7月15日(日) ~ 2018年8月31日(金)
- [※1]
- ICT
- Information and Communication Technologyの略。情報通信技術。