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城西大学水田記念図書館 学生アドバイザー
城西大学水田記念図書館の学生アドバイザーとは、「学生が学生に相談できる」制度です。
教員の推薦を受けた学生が図書館長より委嘱を受けて、館内相談席に常駐しています。
- 名称
- 城西大学水田記念図書館学生アドバイザー
- 活動内容
- 館内相談席に常駐して、論文やレポートの書き方のアドバイス、文献の探し方やパソコンの使い方を教える。イベント・講習会の開催(企画・運営)。
- 人数
- 18名(2023年度)
- ウェブサイト
- https://libopac.josai.ac.jp/apply/adviser.html
ポスター作成の現場を拝見
2022年の図書館総合展(オンライン開催)で城西大学水田記念図書館 学生アドバイザーのポスターに対してブレインテック賞を授賞しました。
2023年、会場展示が復活した図書館総合展のポスターセッションに学生アドバイザーの皆さんが出展されるとお聞きして、その様子を取材したいとお願いしました。
図書館総合展の会場開催が1週間後に迫った10月のとある日、東武東上線の川角駅から歩いて約10分の城西大学水田記念図書館へ訪問しました。
図書館の建物は日当たり良好
この日は学生アドバイザーさんたちが集まって作業されているということで、図書館内の作業ルームに案内していただくと、トレードマークの青いパーカーを着た皆さんが、テキパキと作業をされていました。
今回のポスターは、2014年から行っている学生アドバイザーの活動「ライブラリーラウンジ」の歴史を、大学がある東武東上線で表現するというものです。
その名も「城西鉄道の旅~ライブラリーラウンジの歴史探訪」。
電車で「出発進行!」
パネルに貼って、つなげると長い線路に
こちらでも何やら準備されています
2枚のプレートを貼り合わせます
開くとイベントの詳細が!
ライブラリーラウンジは「学部、学年を超えた交流を図る」ことを目的に始まった企画で、ジャンルを問わず、様々なテーマで年に2回ほど開催されています。
2014年からこれまでの年月を線路で、開催したイベント一つ一つを切符に模したプレートで表現されています。二つ折りのプレートを開くと概要が表示されるというアイデア。
このプレートをポスターに貼るのですが、落ちないようにしっかり貼れて、きれいに開けるように製作段階で工夫されていました。
ライブラリーラウンジの活動が一覧できて、一目で色々な活動をされてきたことがわかります。
完成予定図です
後日完成したポスターはこちら。
学生アドバイザーのキャラクター「ホニ君ズ」にJcrossのマスコットキャラクター「ウパっち」[※1]も興味津々
活動紹介を鉄道の旅にのせて
リーダーの本間さんとサブリーダーの松下さんにお話を伺いました。
お2人は3年生からアドバイザーをされていて、当時はアドバイザー2年目の学部4年生でした。図書館の関口さんにも同席していただきインタビュースタート。
本日は実際にポスターを作っているところを見せていただきました。いつ頃から準備されていたんでしょうか。
本間夏頃から考えていて、決まったのはつい最近です。
松下2週間前に決まりました。
本間それから急ピッチで作業を進めているところです。決まってしまえば後は作業するだけなので早いです。
現在メンバーは18人ということですが、企画は皆さんで考えるのか、もしくは担当がいらっしゃいますか?今回のポスターセッションの内容はどうやって決まったのでしょうか。
本間特に誰が担当というのは決まっていません。毎週金曜日に会議があるので、そこに向けて皆に意見を出してもらいました。
またそれ以外でも、準備期間はなるべく直接話をするようにしていました。この2人で話し合うことが多いですが、同じ時間にシフトに入ったメンバーに相談したり。色んな人と話しているうちにアイデアが出てきて走り出しました。皆に見えるところに出ると進みますね。
鉄道に沿って活動を紹介する目にも楽しいデザインですが、アイデアはどこから出たのでしょう。
本間鉄道の形で何かを紹介しようというアイデアは前からありました。
この青い矢印は城西大学がある東武東上線にインスパイアされたデザインです。
これなら僕たちらしさが出るかなと思って。
松下自分と本間君で鉄道という案を出してからもう一回会議にかけて、そこからどんどん形にしていきました。
本間鉄道が好きなメンバーがいたので、どういうデザインがいいか相談して、イラストも描いてもらいました。
形を決めてから、内容を入れていったのですね。
本間何を紹介するかというところでは、いくつかあった活動の中で、ちょうど25回目が終わって盛り上がった「ライブラリーラウンジ」にしようということになりました。
松下図書館を利用したイベントを学生中心で企画から運営までやっているのは、他にはあまりない、僕たちならではの活動だと思うのでアピールしたいと思いました。
企画から運営まで学生の手で
ライブラリーラウンジ以外で今回の候補にあがったものはあったのでしょうか。
本間地域連携です。地元の小学生と課題をやったり、高校生と連携した企画があります。時期が直近すぎたのと、現時点でまだ未知数なところがあるので、今回はこれまで回数をやってきたライブラリーラウンジがいいということになりました。
ライブラリーラウンジでは本当に色々なイベントをされていますが、企画から運営まで学生さんたちの手で行う苦労はありますか?
松下これまでのイベントもバラエティに富んでいますが、逆に何でもできるので、毎回企画を決めるのが大変です。テーマ、アプローチの仕方、講師として誰かを呼ぶのか、自分たちでやるのか。面白いけど大変です。
本間あと、イベントで大変なのは集客です。イベントによって規模も色々ですが、100人規模のイベントになると自分たちだけでは集客できないので、先生のお力も大きいですね。授業と関連付けて受講している学生さんに参加してもらったり、外部の方の参加など。
松岡とはいえイベントは集客が全てではなく、興味がある人に来てほしいので、そのイベントに見合った人数であればいいと思っています。
単に多ければいいというものではないのですね。
本間一番考えるのはニーズがあるかどうかです。自分たちがやりたいというだけでなく、必要とされるイベントかどうか。
松下開催の時期と時間帯も大事です。授業に出ている学生が多い時間帯は避ける、試験がある学期末より前にする、など。
本間何曜日の何限にやるのがいいか、時間帯やイベントタイトルをどうしたらいいかなど、振り返って、次のライブラリーラウンジに活かすようにしています。
ライブラリーラウンジ第25回「アスリート×栄養学」の報告。企画から運営まで学生が行います
学生が学生に相談できる
イベントがない時はどんな活動をされているのでしょうか。
本間日常の業務としては、論文の書き方や学習方法に関する相談への対応がメインです。同年代の学生どうしなので、話しやすいのではないかと思います。
松下月1くらいでアドバイザー1人1冊おすすめ本を選書しています。これは1階でご覧になっていただけます。
松下また季節展示といって、季節にちなんだ展示も僕たちで行います。10月だとハロウィンにちなんだコーナーを作り、そこで写真を撮ってもらえるスポットにして。図書館に来てもらえるようにという活動です。
学生アドバイザーは先生の推薦で決まるそうですが、お話がきた時どうでしたか?断ったりできるんでしょうか?
本間推薦ではあるんですが、僕はやりたくて。実際に2年生の時に事務長のところへ行って「やりたいです」と宣言しました。
なんと自薦!
本間「3年生からなんです」と言われて、その時は入れなかったんですが(笑)。
当時リーダーをされていた方が同じ学部で僕のゼミの先生の教え子だったので、話を聞くことができました。実際にどういうことをやっているのか、どういう活動があるのかなど聞いて、どんどん興味がわきました。実際に入れた時は嬉しかったです。
松下さんはいかがでしょう。
松下僕はアドバイザーの存在を知って入ったわけではないんです。はじめは全く知らなくて、ゼミの先生から伺いました。
実際にアドバイザーになっていかがでしたか。
松下最初は図書館で活動してる人たちというと固いイメージがあったんですが、話してみたら皆とても優しくて楽しい方ばかりでした。
1年生の頃に学生アドバイザーのことを知っていればもっと気軽に声をかけられたのにと思い、大学内の認知が高まればアドバイザーと学生の距離が縮まって、よりよい活動ができるのかなと考えるようになりました。
関口この2人はコロナ禍で入学式がなかった世代なので、はじめはオンラインだったんですよね。
入学しても大学に行けない頃でしたね。
本間1年生の時は全く学校に行けず、2年生も週に1回、1コマくらいで、ゼミも全部オンラインでした。ようやく本格的に大学に行きはじめたのが3年生になってからです。
松下授業によりますが、僕は1年生の半年くらい経った頃に、週1くらい来てもいいとなりました。
関口当時はアドバイザーの会議もオンラインでした。
アドバイザーの皆さんが登校できなかった時はどんな活動をされていたのでしょうか。
関口まずオンラインで学生からの相談を受け付けることにしました。それからオープンキャンパスにもオンラインで登場してもらいました。図書館内に大きなモニターを用意して、高校生からの質問があれば画面に向かって声をかけるという形で。
本間僕はそのオンラインで学生アドバイザーに出会いました。
松下ライブラリーラウンジの第20回や21回はオンラインでグループワークをしていて、今回ポスターを作っていて、オンラインでこんなことをやってたんだと知りました。
関口オンラインのグループワークをやりましたね。キャリアサポートセンターのカウンセラーからグループワークを希望している学生がいると聞いて、アドバイザーたちが企画しました。当日はキャリアサポートセンターのカウンセラーの方が来てくださって、オンラインでグループごとに話をして、アドバイスをいただきました。
そういうコロナ禍での活動も今回のポスターで振り返ることができますね。
コロナ禍の第20回と21回は「オンライングループワーク体験」
図書館はもうひとつの居場所
お2人はリーダーとサブリーダーですが、これも立候補ですか?
本間推薦か、立候補か。決め方は色々ですが、僕は去年サブリーダーだったので、今年リーダーやります!と言いました。サブリーダーは4年生と3年生の1人ずついるので、自然な流れで。
経済学部、現代政策学部、経営学部、理学部、それから大学院生と色んな方がいらっしゃるんですね。
本間学園祭でビブリオバトルの司会も学生アドバイザーがやります。去年はこの2人で司会をやったので自分たちでもできるのですが、なるべく皆ができるようになってもらいたいので今回は後輩に任せました。
本間活動しやすいように、細かいスパンで進捗を確認したり、どこまで終わったか途中経過を報告してもらうようにしています。マネジメントが大事ですね。
仕事で大事なことですね。メンバー間で問い合わせなどの共有はされていますか。
本間毎週金曜日の会議で、こんなことがあったと共有します。
内容によっては図書館の職員の方に相談して、ひとつずつ解決していくようにしています。
マニュアルもそうですが、次に続いていくようにと思って活動しています。
以前、図書館総合展の会場でポスターセッションを拝見した際に、学生アドバイザーの方が活動を説明してくださって、熱心さに感動しました。今日活動を拝見しても、皆さん積極的で、何より楽しそうな印象です。
本間皆で楽しくわいわいやっています。他の学年の人と関わるのは貴重な時間です。
学生時代を振り返ると、図書館にいる時間が一番長いんです。4年生になると授業がなくてゼミだけなんですが、今でも週5、1限から5限まで大学にいます。
松下経営学部の授業を受けているだけでは出会えない人たち、理系の方や大学院の方など、色んな人と一緒に活動できて、刺激をもらえています。
企画・運営の姿勢や、最近は地域連携の活動をされていることなど、参考になるお話を伺って、私たちも刺激をいただきました。ありがとうございました。
学生アドバイザーも一緒に成長していく
図書館の関口さんにもお話を聞きました。
関口最近は自分から入りたいという学生も多いです。最初からやる気があって、なんでもチャレンジしようという意気込みがあっていいですね。その場合は私が面談でこういうお仕事がありますよと説明して、入りたいということになったら、先生に推薦をお願いします。
任期を更新する方もいらっしゃるとか。
関口長い人で4年間いたという人がいましたね。
4年間!3年生からということですから、大学院までいらっしゃったんですね。
関口メンバーに大学院生がいるというのはやっぱり違いますね。例えば会議で意見が割れたりした時に、大学院生が発言すると変わります。学生たちにとっていいことだと思います。
学生さんは毎年入れ替わりますものね。
関口毎週の会議の議事録も学生がとっていますし、学期ごとの会議で振り返りもして、次の学期のリーダーに引き継いでいます。
継続すること、引き継ぐことは、社会に出ると必要なことなので、それを学生時代に経験してもらって、自分の中にそういう意識を育ててもらえればいいなと思っています。
社会に出る前にとてもいい経験をされていますね。
関口相談された方も成長しますよね。学生アドバイザーは学生支援の役割がありますが、アドバイザー自身の成長の場でもあります。
職員の皆さんが程よい距離で見守っていらっしゃるのを感じました。先ほどのインタビューで「私たちの後ろには図書館の職員の方がいらっしゃるので安心です」と仰っていました。
関口卒業した後に図書館に遊びに来てくれるのがとても嬉しいです。
図書館内で見られる学生アドバイザーの活動
インタビューの後、館内で学生アドバイザーさんたちが活躍されているのを見せていただきました。
相談席は図書館内の複数個所にあります。
相談席には学生アドバイザーの在席スケジュールが貼ってあります
こちらにも学生アドバイザーの選書が
たくさんお話を聞いた後で図書館内も案内していただいて、気付けば夕暮れになっていました。
図書館棟の上からの景色
東武東上線の川角駅から帰途につきます
完成ポスターin図書館総合展会場
10月24日25日、パシフィコ横浜で開催された図書館総合展のポスターセッション会場へ、完成したポスターを見に行きました。
会期中は常に人が集まっている状態でした。
完成したポスターを実際に目で見られて嬉しかったです。
今回のポスターが来場者投票賞のポスターセッション部門で3位を受賞されました。おめでとうございます!
2023年度の皆さんの任期も2月で終了しました。
2024年も学生アドバイザーの皆さんの活動に注目していきたいと思います。
文/水田真美 (株式会社ブレインテック Jcross担当)
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