お仕事見学
図書館をトータルサポートする株式会社図書館流通センターを訪問! (前編)
第7回 株式会社図書館流通センター
ウパっちは、とある企業図書室に住むウーパールーパー。
いつものように書架でのんびりしていると、図書室のおじさんが何やら分厚い冊子を開いてお仕事をしていました。
おじさんがちょっと席を立った隙に『週刊新刊全点案内』と書かれたその本をめくってみると、どのページにも分類順にたくさんの本の表紙や内容の紹介が書かれていて、見ているだけで楽しそう!
興味津々のウパっちは、発行元の株式会社図書館流通センターを訪ねることにしました。
図書館流通センターを案内してもらった
さっそくウパっちは、東京都文京区大塚にある株式会社図書館流通センター(以後、TRC)にやって来た。
東京メトロ丸ノ内線の茗荷谷駅からすぐの場所にある本社ビル。ビル入口には文京区立図書館の返却ポストが設置されていた。
右側の壁面に設置されているのが文京区立図書館の返却ポスト
エントランスで広報部の尾園清香さんに出迎えていただき、会社についていろいろと教えてもらった。
図書館流通センターの業務内容
「TRCは、1979年の会社創立時から、国内で発行されている出版物の書誌情報(書名、著者名、出版社、ISBNなど、出版物を特定する情報)をデータ化するということをメインの事業としてきました。このデータを「TRC MARC(TRCマーク)」[※1]というデータベースに収め、それまでカード目録だったものをデータベースというかたちで1982年より販売しています。これまでに書誌情報を作成してきた出版物は360万冊強です」
広報部の尾園さん
TRC MARCは多くの図書館で利用されており、例えば全国の公共図書館のうち、8割以上の館で利用されている。
「1冊の本について1332項目のキーが設定されているので、タイトルや著者名以外にもジャンルや書評情報、目次情報など様々なキーワードで検索できるよう工夫されています」
TRC MARC用に作成されたデータは、TOOLi、TOOLi-S[※2]といったWebシステムにも利用されている他、ウパっちが興味を持った『週刊新刊全点案内』にも使われているとのこと。
「この『週刊新刊全点案内』は毎週発行しています。1週間の間に国内で発行された本を、表紙のカラー写真と内容紹介文とともに掲載しており、図書館での選書ツールとして活用していただいています」
週刊新刊全点案内
「図書館が、『週刊新刊全点案内』で選書した本を実際を購入しようという際には、掲載されているバーコードを読み取るとオンラインでTOOLiから発注ができるようになっています。そして、その発注情報は弊社の物流センターに送られて、背ラベルを貼るなどの装備をして、出荷、そして図書館に納品される、という一連の流れができているんですよ」
物流センター?
「埼玉県新座市に物流センターがあるんです」
「新座ブックナリーと言いまして、ここでは取次から図書館用に入庫した本を在庫として保管しています。それを図書館の注文に応じて、装備をして出荷するまでの一連の工程をワンストップでできるようになっています。TRCの物流拠点は他にもありますが、TRCであつかっているうち、およそ8割は新座でまかなっています」
「ちなみに、ひと言で装備といっても、例えばラベルを貼る位置など、装備の仕様は図書館によって異なりますが、そうした細かな仕様もすべてシステムで管理して対応できるようになっています」
本のデータだけでなく、実際の本を図書館に納めるところまで対応していることを知って、感心することしきりのウパっち。
「実はそれだけじゃなくて、図書館そのものの運営にも携わっているんです」
「ある自治体から業務委託を頼まれたことをきっかけに、図書館の運営にも携わるようになったんですが、10年ほど前に指定管理者制度が導入され、今は全国の図書館で管理、運営を行うようになりました」
「運営を請け負った図書館では、それぞれの地域にあわせたサービスを工夫し、提案、実現することにも力を入れています。例えば図書館で週に3回、利用者カードを持っている地域の住民の方へ無料の託児所のサービスを導入している館もあります。1回1時間の利用が基本なのですが、ちょっとした用事の際に預かってもらえると評判になっています」
MARCと、物流と、指定管理者としての図書館運営。この三本の柱で図書館を支えているのがTRCという会社だった。
ショールームを見学させてもらった
本社の1Fがショールームになっていて、取り扱っている様々な製品が展示されている。
「香りや音などの空間を演出する機材、図書館の運用に必要なICタグリーダーやブックポスト、書籍消毒機などを実際に見ていただけます」
書籍消毒機 ※ウパっちは特別に許可を得て中に入れてもらっています
「ある図書館では館内にせせらぎ音を流しているのですが、その図書館は閲覧席からちょうど本物の川が見えるので、その川の音が聞こえていると思っていた利用者もいたようです(笑)。自然な音に聞こえたのでしょうね」
実際に図書館にいるような気分で、ウパっちもはしゃぎ気味でいろいろと見学。
自動貸出機
そしてこの後は、実際に『週刊新刊全点案内』や『TRC MARC』のデータを作成している部署を案内してもらえることになりました。
この続きは後編で!
TRCという会社の幅広い業務内容にすっかり感心したウパっちでした。
この後は、いよいよデータの作成現場を見せてもらえるということで、とっても楽しみ。
会社情報
- 株式会社図書館流通センター
- 株式会社図書館流通センター(TRC)
http://www.trc.co.jp/
- [※1]
- TRC MARC
- TRCが発行する資料情報のデータベース。MARCは機械可読目録、"MAchine Readable Cataloging"の略称。