専門図書館見学記
大倉精神文化研究所附属図書館
- 図書館名
- 公益財団法人 大倉精神文化研究所附属図書館
- 住所
- 神奈川県横浜市港北区大倉山2-10-1
- URL
- http://www.okuraken.or.jp/tosyokan/
うららかな秋の日。横浜は大倉山にある大倉精神文化研究所附属図書館を見学する機会を得ました。(専門図書館ツアー横浜編です)。同館についてはその外観とか、おおまかにどのような資料を収集しているかを知っているだけでした。
同館は大倉山の駅から徒歩7分の位置にあるとされています。まず驚いたのが大倉山の駅名が大倉精神文化研究所に由来するということ。漠然と大倉山にあるから大倉精神文化研究所なのだと思い込んでいました。徒歩7分とありますが、同館のある大倉山公園は小高い丘の上。なかなかに急な上り坂を登った先にあります。たどりつくまでに息があがる坂道です。
丘の頂上には大倉山公園、そこに白亜の大倉記念館があります。ギリシャ神殿様の柱のあるプレ・ヘレニック様式の格調高い建物です。気軽に建物内に入ることができるのだろうか、という感じを抱かせる立派な建物ですが、広く開放されています。
いかめしい扉を開けて中にはいると中央に階段。中心部は天井まで吹き抜けになっています。天窓からの光が黄色くあたたかい。建物だけでもうお腹いっぱい。でもこれからが本番です。
図書館のこれまた立派な扉を開けて中にはいると、そこは閲覧室とカウンターです。その奥に書庫が続いています。書庫は利用者が普通に使える部分とクローズになった部分に分かれています。見学会ではクローズの部分を重点的に案内していただきました。
この閉架書庫は5層の積層式書架だそうです。(展示されている書架のパンフレットには世界的権威と書いてあります)。
リフトは設置されていますが、現在は使えないようです。骨董品といっていい年代物のリフトなのです。つまり図書館員のみなさんは本をもって階段を上り下りしているのです。駅からの坂といい、優美な外観とはうらはらに、この図書館で勤務するには、体力が不可欠のようです。
そして年代物、骨董品はリフトだけではありません。館内各所に置かれている備品も年代物がズラリ。スチール製のカードケースは「米国ライブラリ・ビウロウ」製。今や図書館で滅多にお目にかかれないキハラの木製カードケースさえ、真新しく見えてしまうのです。
資料も負けじと年代物をそろえています。タゴール文庫やら旧制高校の文庫やらスゴイものがいっぱい。リットン調査団の報告書もありました。
「貴重書」と分類されている書籍がありますが「貴重書」に分類されていない他の資料も、他所の図書館にいったら十分貴重書になるのではないでしょうか。そして書庫見学の後に訪れた第二閲覧室は、参加者が「自分の書斎として使いたい」と口をそろえて熱望したほど、落ち着いて気持ちのよい空間でした。ほんとうにじっくり拝見したい書庫、ゆったりと腰掛けて本を読みたい閲覧室でした。
第二閲覧室
こちらの図書館では「書庫探険」というイベントも開催されているようです。建物の探検とともに知の探検ができる、リッチなイベントです。
知の探検を経験したい方はぜひ大倉精神文化研究所附属図書館を訪ねてみてください。
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- 見学者
- 結城智里 (一般財団法人機械振興協会 BICライブラリ)
- 見学した専門図書館
- 公益財団法人 大倉精神文化研究所附属図書館