レポート
見逃していませんか? ― まだまだあった第19回図書館総合展イベント
2017年11月7日から9日までの3日間で開催された第19回図書館総合展はいかがでしたでしょうか?
図書館総合展では、ブース展示を見たりフォーラムに参加する以外にも、展示会場内のスピーカーズコーナーやメーカーズ・ラボでのイベントや、企業ブースでも体験型のイベントが開催されていたり、様々な楽しみ方があります。
今回はほんの一部ですが、展示会場内で行われた気になるイベントや体験コーナーの様子を紹介します。
図書館寄席 ― 笑う図書館に福来る ―
「図書館」と「寄席」が融合するということに初めは驚きましたが、調べてみると、最近は図書館の催しとして寄席が開催されていることを知りました。本職の落語家を招いたり、地元や大学の落語研究会のような人たちを招いて行なうものまで、様々なかたちで開催されているようです。
今回、スピーカーズコーナーで行われた「図書館寄席」は立命館大学、同志社大学、京都産業大学、明星大学の司書課程をとる学生さんや図書館スタッフとして働く学生さんが演者として高座に上がり、図書館を舞台にした創作落語と大喜利を披露していました。
(この中で実際に落語研究会に所属している学生さんは1名だけだそうです)
図書館大喜利では立命館大学の常世田良教授が座布団運びならぬ、『日本十進分類法(NDC)』のケース(函)運びをしていました。
これは、司会者がいい回答と判断すれば「NDC1冊!」と言って、回答者にNDCのケースが積み重ねられるというもので、もちろん、ダメな回答の場合には取り上げられていました。後ろにもNDCのケースが山積みにされていて、「さすが図書館総合展!」と思う光景でした。
来年以降もまた見てみたいですね。
第3回 図書館キャラクターグランプリ
図書館キャラクターグランプリも今年で3回目を迎えました。
すっかりおなじみとなったキャラクターから、今回初めて参加するキャラクターまで多くのキャラクターが参加し、会場を盛り上げていました。
どのキャラクターもかわいいだけでなく、図書館を盛り上げようと日々創意工夫でがんばっている姿に感動しました。
これからもキャラクターの輪が広がることを願います。
オリジナルのミニ本づくり
株式会社伊藤伊のブースでは、図書館総合展の後に発売予定だった「オリジナルミニブックキット」を使ったミニ本づくりを無料で体験できました。
ハサミひとつでとても簡単に作れるところを見せていただき、実際に私も教えてもらいながら作ってみましたが、初めてでも簡単に作成できました。
カバーフィルム等でブックコーティングの経験がある司書さんであれば表紙を貼った後の四隅の処理などは手慣れた作業だと思います。
見返しや花布(はなぎれ)、しおり紐など、1冊の本に必要なパーツと使われ方が分かり勉強にもなりました。
出来上がった本は飾ってもかわいいうえに、ハードカバーで丈夫なため、持ち歩きにも便利で、オリジナルのメモ帳として使っても重宝しそうです。
図書館に地球儀を置いてみよう
大人になって地球儀に触れる機会はなかなかありませんが、私が子どもの頃はどの家にも地球儀があったように思いますが、最近はどうなのでしょうか?
今回はメーカーズ・ラボコーナーにて、帝国書院が主催する「図書館に地球儀を置いてみよう!」というイベントに参加しました、
イベントでは、地球儀と地図(ミラー図法のものを使用)の違いを知るために、参加者が実際に検証を行なうなどして、地球儀の魅力を再発見してきました。
例えば、地図上のグリーンランドをトレーシングペーパーに写し取り、オーストラリアと比較してどちらが大きいか確認します。地図上ではグリーンランドの方が大きいのですが、地球儀上で同じことをすると、逆転します。
また、紙テープを使用して、ロンドンから東京、カイロから東京の距離を地図上で比較します。地図上ではカイロの方が近いのですが、地球儀上で比較すると、やはり逆転します。
地図には地図の利点もありますが、丸いものを平面に投影しいていることから生じるその歪みを実際に体感できるものでした。
子どもの頃に地球儀をくるくる回して世界の国々に思いを馳せた記憶がよみがえってくるようなワークショップでした。
絵本を知らないアジアの子どもたちのために
こちらは、シャンティ国際ボランティア会が主催する「絵本を届ける運動」の体験ができるワークショップでした。
「絵本を届ける運動」は日本語の絵本に翻訳シールを貼って、ラオスやカンボジアなど、シャンティが支援するアジアの地域に送るという活動です。
Jcrossを運営する(株)ブレインテックでもここ数年有志で参加しており、私も何度か参加したことがありますが、子どもたちにとって絵本は楽しみであるだけでなく、読み書きを習得する手助けにもなっており、絵本が重要な役割を果たすことをあらためて知りました。
今回のワークショップでは3人一組となり、1冊の絵本を仕上げました。
翻訳シールを切って貼るだけの作業ではありますが、絵本1冊の価値はどこでも手に取れる日本のものよりずっと重いものだと思います。自分自身絵本を読んだときの楽しい気持ちを思い、この1冊が子どもたちの笑顔につながると思うととてもすがすがしい気持ちになりました。
2017年度の受付は終了してしまいましたが、来年も1月から受付を開始するそうなので、機会があればぜひ参加してみてください。
他にも...
他にも、毎年恒例のポスターセッションも開催され、多くの方が足を止めて見入っていました。
また、専門図書館を紹介する「こんなにあります!あなたも使える専門図書館」の展示も、昨年に引き続いて今年も開催されました。
以上、気になったイベントはあったでしょうか?
少しでも雰囲気が伝われば嬉しいです。
限られた時間の中、図書館総合展で興味のあるイベントなどをすべて見て回ることは難しいかもしれませんが、年々、様々な工夫を凝らした展示や企画も増えてきていますので、もう少しだけ時間に余裕を作って図書館総合展をもっと楽しんでみてはいかがでしょうか。
レポート/秋葉 小夜子 (株式会社ブレインテック Jcross担当)