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トカツ

学校図書館プロジェクトSLiiiC

掲載:2012年7月27日

学生・研究者・現場で活躍している学校図書館員が協力して、学校図書館に携わる人々の支援をする学校図書館プロジェクト・SLiiiCの活動を紹介します。

学校図書館プロジェクトSLiiiC
名称
学校図書館プロジェクトSLiiiC(School Libraries Communication Collaboration and Combination:スリック)
発足年
2006年2月
参加資格
学校図書館に関心のある方なら誰でも
参加人数
120人 (2012月7月現在、ML 登録者数)
Webサイト
http://www.sliiic.org/
Twitter
@sliiic /ハッシュタグ:#sliiic

SLiiiCとは?

SLiiiCとは、図書館情報学を学ぶ学生と、現職の学校図書館職員とで結成された団体です。発足のきっかけは、学生が学校図書館の課題(一人職場、技術の伝承、学習への学校図書館活用方法)に気がつき、自分たちが何かできることはないかと考えたことからでした。

現場の各種問題は、そこにいる人に聞くのがいちばんです。そこで発足メンバーは、学校図書館職員にアプローチを行い、一緒に活動してくれる仲間を募り始めました。最初は内輪の小さな団体でしたが、学生の熱心なアプローチと、現職の口コミが広がり、志を同じくする仲間が増えていきました。

SLiiiCの正式名称は、"School Libraries Communication Collaboration and Combination"です。それぞれの“C”には Communication(コミュニケーション)、 Collaboration (共同制作)、 Combination(連携)という思いが込められています。この3つのCを大切にしながら、最終的にはウェブサイトというかたちで学校図書館支援を目指すことを目標に、日々情報を発信しています。

SLiiiC の活動

tokatsu_sliiic02.gif SLiiiCのマスコットキャラクター

SLiiiC立ちあげ当初は≪全国にいる一人職場の学校図書館員へのサポート≫を主眼にポータルサイトの運営とコンテンツの充実が活動の中心でした。学生メンバーは動画の編集などのデジタル分野で、現場の職員は実務面でのコンテンツへのアドバイスなどを提案するなど、協働してサイトを作成してきました。

ページトップには、かわいく動くマスコットのつくしちゃんも登場し、親しみやすいサイトのデビューです。学校図書館現場で、どんなコンテンツが必要とされるのかをアンケート調査し、その結果をふまえて地道なコンテンツ作成を行いました。

tokatsu_sliiic03.gif SLiiiCのWebサイトで提供しているコンテンツの一例

また、ウェブページの特性を生かし、オリエンテーションの実演、ブックコートのかけ方や本の補修の行い方の動画など、このサイトを見れば、初めて図書館に勤務する方にもわかりやすいコンテンツ作成を心がけています。

学校現場を取材させていただき、実際の授業の映像や授業で使用した本を司書が紹介している様子を動画で見ることもできます。

今まで開催してきた研修会で特色あるものとしては「特別支援教育と学校図書館」「DAISY体験・講習会」など、図書館利用に障害をもつ子どもたちへのサポートについての講演会や研修会です。この研修会には、学校図書館の職員や学生以外にも特別な支援を必要とする子どもたちに関わる職の方も参加され、好評でした。

tokatsu_sliiic04.gif SLiiiC スタッフ

ここ数年は「SLiiiC Twitter 大作戦! 学校図書館員のためのTwitter入門講座」「デジタルブックトーク体験・実践」講座など、他の団体ではあまり行われていないデジタル機器を利用しての研修会を行っています。

今まで開催してきた研修会のコンセプトは固定したものではなく、その時々のスタッフの話し合いと、会員の要望などを踏まえ、講師依頼や種々の準備もミーティングを重ね、スタッフも楽しみながら行ってきました。

また、コンテンツ充実と親睦もかねてSWC(サマーワークキャンプ)を毎年行っています。学生と現職者、研究者がお互いの事例発表や研究紹介を行う、部活の合宿のような素朴なキャンプです。

昨年は学生メンバーの減少と、震災後の様々な制約で参加人数が減ってしまいましたが、USTREAM(ユーストリーム)配信という手段を使い、現地にいなくとも参加できるシステムを作りました。そこで配信された取り組みを見て、同じく図書館に興味を持つ学生の方が、飛び入り参加して盛り上がるという場面もありました。

Q&Aで分かるSLiiiCのこれから

Qいままで色々なことに挑戦してきたような気がするけれど、今後やりたいことは?

Aここ最近はデジタルに特化してきたので、アナログでできることをもう少し詰めてみたいですね。
一口に学校図書館といっても、小学校・中学校・高等学校、そして特別支援学校と様々な館があり、そこで使えるものは、学校によってもかなり異なっているのが現実ですから。また、教育に関わる図書館と言うこととを考えれば、大学や大学図書館との接続や連携も考える必要がありますから、その辺りもきちんとカバーしていきたいと 思っています。

Qさまざまなことをやってきましたが、これからの活動に取り入れたいものは?

A図書委員会の活動例がたくさん欲しい。これ、意外と少ないですよ。マンネリ化した時に検索したのですが、結構有名なサイトでさえ「専用のコーナーを設けましょう。」しか書いてなくて、愕然としたことがあります。もっと具体的に、子どもたちや先生方の反応がどうであったかを知りたいです。

Qコンテンツの充実も頑張らないと、来訪者の期待に応えていけないですね。

A上でもお話したとおり、さまよえる司書はウェブ上にたくさんいると思います。「困ったときのSLiiiC」になれるといいですね。

tokatsu_sliiic05.jpg 2011年9月のDAISY 講習会より

Qそもそも、学校図書館をサポートするからには先生にもたくさん参入してもらいたいところですね。

A学習面で言うと、調べ学習の良し悪しは、大人のサポートにかかっていると思います。司書だけ頑張っても、クラスの子どもたちをよく分かっている先生の導入や学習後のフォローがなくては、頭に染み込んでいきません。どうせやってくれないからと、お互いに反目すればするほど、子どもたちは図書館から離れていきます。

よく、自分は本に関して素人だと言って遠慮なさる先生もいらっしゃいますが、無理難題でもいいから声をかけて欲しいです。すべての話は、そこから始まるのですから。SLiiiCで、先生方の学校図書館活用方法を提供するのもいいかもしれません。

(本文章は小学校図書館で司書として勤務しているSLiiiCスタッフの関と村田が執筆を担当いたしました。)