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専門図書館見学記

国立教育政策研究所教育図書館

掲載:2016年4月1日
図書館名
国立教育政策研究所教育図書館
住所
東京都千代田区霞が関3丁目2番2号
URL
https://www.nier.go.jp/library/

埼玉県にある鶴ヶ島市立図書館の砂生絵里奈です。
鶴ヶ島市は川越市の隣、埼玉県のほぼ真ん中にある人口7万人の小さな市です。
図書館経験は、市役所と図書館との異動を繰り返しながら15年目になりました。

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今回私がレポートする国立教育政策研究所教育図書館は、合同庁舎7号館内にある、主に教科書をコレクションしている専門図書館です。
50万冊ある蔵書のうち、なんと10万冊は江戸時代から現代までの教科書です。
また、教育分野の様々なレファレンスに応じてくれます。
さらに、教育研究論文索引という、教育分野唯一の論文検索データベースを提供しています。これは教育分野の雑誌などから論文をひろうという、地道な努力で作成されています。
利用者は主に大学関係者ですが、一般の方も利用できます。来館予約については、利用者登録すれば、Webから予約できます。登録しなくても、メールやFAXからも予約できます。
また、来館しなくても、蔵書や、教育研究論文索引はホームページから検索できます。教育研究論文索引は教育図書館で受け入れている逐次刊行物(雑誌、大学紀要など)、から教育関係の論文・記事をピックアップして登録したもので、一部については本文の閲覧まで可能です。CiNiiと比較しても、登録が早い、教育分野に限定されている、ほぼ全て教育図書館で所蔵しているという特徴があります。
また、戦前教科書は8割方PDF化が終わっているため、所内の検索システムを使えば閲覧や著作権の範囲内で複写することもできます。

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一通り説明を受けた後は、いよいよ見学です。最近の教科書や教育関係の雑誌、検索用パソコンが充実している6階を見学後、いよいよお宝が眠る書庫へ。
書庫へ行くために19階に上がったら、急に視界が開けました!なんとそこには、皇居やその先のビル群、手前には国会議事堂前や国立国会図書館が見渡せる素晴らしい絶景が待っていたのです!みんな夢中でシャッターを切っていました。

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書庫には江戸時代からの教科書や貴重な資料が沢山ありました。また、多くの教科書や資料集に掲載されている明治時代の授業風景の絵「小学入門教授図解第七」を見せていただきました。もっと大きな絵なのかと思っていたら小さな冊子で、他のページにも鮮やかで美しい授業風景の絵がたくさん!先生が洋装で、生徒たちが和装という理由でこの第七が一番人気があるそうです。

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さらに、明治時代の国語の教科書にシンデレラが商家の娘設定で「おしん物語」として掲載されていることにみんな興奮気味。奇想天外な展開に興味津々でした。

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専門図書館巡りをしていると、沢山のお宝資料に出会います。私たちは海賊のようにお宝を探し、夢中になって本の海の中で遭難してしまう人もちらほら...(各館で案内してくださる皆様にはご迷惑をお掛けしています)。
明治時代の教科書表紙コピーを使ったブックカバーも頂いてみんな大満足で見学を終えました。

その後、スタッフの方のご厚意で、隣接する旧庁舎にある国立国会図書館の支部図書館である文部科学省図書館も少しご案内いただきました。
文部科学省図書館は文部科学省の発行物や、教育、科学技術、文化等の分野の行政事務遂行上必要となる資料を収集・提供している図書館で、約98,000冊の蔵書と、約720種の雑誌を所蔵しています。こちらも一般の方も学術研究、調査目的で資料の閲覧が可能です。利用希望日の前日午後5時までにメールかFAXで申込むことが出来ます。
館内では、オリンピックに因んで、スポーツ特集が展示されていました。
何メートルも先まで見渡せる書棚の林に参加者たちはうっとり。みんな、とことん図書館好きなのでした。

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最初は公共図書館のレファレンスなどの仕事に生かせればと思い、専門図書館巡りに参加していました。
私たちが専門図書館巡りをするのは、各図書館の特徴を知り、どういった資料を所蔵しているのかを知ることで、自館で受けたあらゆるレファレンスに対応できるようにしておくというのが理由のひとつです。
しかし、いろいろな専門図書館を巡り、その魅力に触れるうち、せっかくこんな素晴らしい図書館があるのだから、大勢の方に直接利用して頂きたいと考えるようになりました。
ほとんどの専門図書館は、一般の方にも解放され、利用しやすく工夫されています。
まず、専門図書館の存在を知っていただくために、様々な機会を捉えて紹介していくのも公共図書館の大切な役割のひとつではないかと感じました。

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見学者
砂生絵里奈(埼玉県鶴ヶ島市立図書館)
見学した専門図書館
国立教育政策研究所教育図書館